現在、日本では1,000万人もの人が骨粗しょう症になっていると考えられています。いずれは腰痛や骨折を起こすと思われる予備軍を含めれば2,000万人とも言われています。
性別では、女性が圧倒的に多く、閉経後の50歳頃から急速に増え始め、男性の3倍と言われています。
<骨粗鬆症の危険因子>
①女性・閉経
女性ホルモンであるエストロゲンは、骨にカルシウムを蓄える骨形成を促し、骨からカルシウムが溶け出す骨吸収を抑えます。
閉経により、分泌量が減少し骨粗しょう症が急激に進行し始めます。
②極端なダイエット
無理な食事制限によるダイエットはカルシウムやビタミンDといった骨を作るための栄養素が不足します。また、骨を作る細胞を活性化するエストロゲンも減少します。
特に思春期ころの骨の形成に重要な時期には要注意です。
③加齢
男性も女性も20歳頃に骨密度のピークが来ます。40歳頃までは一定の骨量を維持できますが、その後は加齢とともに徐々に減り始めます。特に閉経後の女性の骨量の低下は顕著です。
④体型・骨密度
もともと小柄な人は、骨が小さいためカルシウムの蓄積量も少ない傾向があります。さらに、やせていて筋肉の少ない人は、骨を支える力が弱いために、骨が弱くなってしまいます。一般に、男性にくらべて女性は、骨が細く、筋肉も少ないことから、相対的に骨粗しょう症にかかるリスクが高いといえます。体重・BMIやカルシウム摂取は、骨密度と密接に関連します。特に、やせている人は注意が必要です。
⑤遺伝・骨折経験
骨の強さは遺伝的要素も影響するといわれており、近親者に骨粗しょう症、特に母親が大腿骨近位部骨折を経験した場合には注意が必要です。ただ、家族間などで似ている生活習慣の影響を遺伝と混同してしまうことがあります。自分や家族の生活習慣も見直すことも大切です。
⑥喫煙・飲酒習慣
喫煙は胃腸でのカルシウムの吸収を阻害し、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌も抑えるため、骨量不足を招きます。また、間接的に骨粗しょう症につながる、ほかの病気のリスクにもなります。
適度な飲酒は問題ありませんが、アルコールを過剰に摂取(1日2単位以上:例・・・日本酒2合以上)すると胃腸でカルシウムが吸収されにくくなります。さらに、アルコールの利尿作用により、尿と一緒にカルシウムが体外に排泄されてしまいます。
⑦病気や薬剤の影響
・ステロイドの長期服用
さまざまな病気の治療に使われるステロイドですが、長期間飲み続けると、骨形成を促すホルモンの分泌が減少するなどして骨がもろくなり、骨折につながる場合が多いことが知られています。
※塗り薬などのステロイドは除く。
- ・関節リウマチ
- 関節が炎症を起こし、軟骨や骨が破壊されて関節の機能がそこなわれる病気。関節リウマチそのものと、治療に使われることがあるステロイドの影響により、骨粗しょう症および骨折のリスクが高まります。
- ・糖尿病
- もともと骨量が比較的多い人でも、糖尿病になると、骨の新陳代謝のバランスが崩れ、さらにコラーゲンの劣化により骨質も悪くなって、骨粗しょう症による骨折を招きやすいことがわかってきました。いわゆるメタボリックシンドロームについても、同様と言われています。
- ・慢性腎臓病(CKD)
- 腎臓の機能が低下し続ける病気で、食事や喫煙などの生活習慣、肥満や糖尿病などほかの生活習慣病とも密接な関わりがあります。CKDは骨質の劣化を招くため、骨密度が比較的高くても骨がもろくなります。
- ・副甲状腺機能亢進症
- 副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、カルシウムを蓄えて骨をつくる働きよりも、骨からカルシウムが溶け出す働きの方が活発になってしまい、骨密度が低下します。